Barclays、Claudeを全社展開。
開発者の50%がClaude Code利用へ
ソフトウェア開発、レガシーシステム刷新、 顧客対応、Global Marketsのメール処理。 世界的な大手銀行で、 Claudeが「チャットAI」から企業インフラへ移り始めています。
BarclaysはClaudeを何に使うのか
今回の発表で重要なのは、 Claudeが単一の業務へ導入されるのではない点です。
BarclaysはClaudeを 複数の重要業務へ横断的に展開しています。
2026年末までに開発者の50%がClaude Codeへ
Barclaysは Claude Codeの利用率について 明確な数値目標を示しています。
2026年末までに 開発者人口の50%。
そして2027年には、 ソフトウェアエンジニアの過半数 へ拡大する計画です。
これはClaude Codeが 一部の開発者向けの実験ツールではなく、 大規模企業の標準的な開発環境へ 入り始めていることを示します。
なぜ銀行で「AIコーディング」が重要なのか
銀行は、 世界で最も複雑なITシステムを持つ業界の一つです。
決済、 口座、 取引、 リスク管理、 コンプライアンス、 市場データ、 顧客管理など、 大量のシステムが長年にわたって積み重なっています。
しかも、 止めることが難しいシステムも多くあります。
そのため単純に 「新しいシステムへ全部作り直す」 ことができません。
既存コードを理解し、 古いシステムと新しいシステムをつなぎ、 安全に変更し続ける必要があります。
Barclaysはレガシーシステム刷新にもClaudeを使う
BarclaysのGroup Co-Chief Operating Officer、 Craig Bright氏は、 ソフトウェアエンジニアリングと サイバーセキュリティの両方が、 より高性能なAIによって変化していると説明しています。
BarclaysではClaudeを
という流れで活用し、 技術者がより難しい問題へ集中できる環境を 作ろうとしています。
Claude Codeが企業導入しやすい理由
従来のAIコーディングでは、 コード補完や 質問への回答が中心でした。
Claude Codeのような agentic coding toolでは、 より広いコードベースを理解し、 ファイルを編集し、 コマンドを実行し、 テストしながら タスクを進めることができます。
つまり、
「コードを書くAI」 から 「開発タスクを進めるAI」 へ変化しています。
1万6000人が使うKnowledge Assistant
Barclaysでは、 Claudeを使ったAI導入は Claude Codeから始まったわけではありません。
すでに2025年から Colleague Knowledge Assistant が稼働しています。
これはBarclays UKの従業員が、 顧客対応時に必要な情報を より早く見つけるためのAIアシスタントです。
RAGで社内情報を検索
Knowledge Assistantには Retrieval-Augmented Generation(RAG) が使われています。
Claudeが一般知識だけで回答するのではなく、 Barclays内部の情報を検索し、 その内容をもとに回答します。
金融機関では、 商品条件、 手続き、 内部ポリシーなどが頻繁に更新されます。
そのため 「AIが覚えている知識」に頼るより、 最新の社内情報を取得して回答する構造が重要です。
Global Marketsでは1日12万通のメールを処理
さらにClaudeは、 Barclaysの Global Markets でも使われています。
ここでは、 顧客から届く大量のメールをAIが処理します。
Claudeモデルは、
という流れで処理を支援します。
その件数は、 約12万通 / 日 です。
メールそのものへ自動返信するというより、 人間のオペレーション担当者が 迅速に処理できるように 情報を整理・優先順位付けする役割です。
AIの価値は「人を減らす」だけではない
Barclays側が強調しているのは、 単純な人員削減ではありません。
Group Co-Chief Operating Officerの Anne Marie Darling氏は、 AIによってルーティン作業に使う時間を減らし、 意思決定を効率化することで、 従業員がより複雑な問題へ 専門性を集中できると説明しています。
なぜ金融業界のAI導入は難しいのか
銀行は、 AIを導入しやすい業界ではありません。
扱うデータが 極めて機密性の高いものだからです。
Barclaysは「ガバナンス込み」でClaudeを展開
AnthropicとBarclaysは、 今回の発表で responsible deploymentを 重要なテーマとして挙げています。
Barclaysでは AIユースケースへ
ガバナンス、
セキュリティコントロール、
人間による監督
を組み込み、 安全に展開すると説明しています。
これは企業AI導入で 非常に重要なポイントです。
モデルが賢いかどうかだけではなく、 「誰が何を許可できるか」 「どのデータへアクセスできるか」 「失敗時に止められるか」 が必要になります。
「AI as an increasingly agentic capability」
Barclaysの今回のコメントで 特に重要なのが、 AIを “increasingly agentic capability” として捉えている点です。
つまり、 AIを単なるチャットボットではなく、
構築、
テスト、
セキュリティ、
運用
そのものへ組み込む方向です。
銀行という巨大組織で この考え方が採用されていることは、 AIエージェント市場が 実験フェーズを超え始めていることを示します。
Claude Codeは「個人の便利ツール」から変わり始めた
Claude Codeはもともと、 開発者がターミナルから使う AIコーディングエージェントとして急成長しました。
しかし現在は、 大企業での利用が広がっています。
ここで重要なのは、 企業導入では 「どれだけコードが書けるか」以外の要素が 非常に重要になることです。
たとえば、
認証、
権限、
ログ、
監査、
コスト管理、
モデル管理、
セキュリティ
です。
企業AI競争は「モデル」から「導入能力」へ
2026年のAI競争を見ると、 各社の戦いは モデル性能だけではなくなっています。
OmochiX視点:AIコーディングは「開発ツール」から「企業インフラ」へ
Barclaysのニュースで最も重要なのは、 「Claude Codeを導入した銀行がある」 ということではありません。
重要なのは、 大規模で規制の厳しい金融機関が、 AIコーディングを組織標準へ広げようとしている ことです。
数年前までAIコーディングは、 開発者個人が使う 生産性ツールという位置づけでした。
しかしClaude Codeのような エージェント型開発ツールは、 コードを書くことだけでなく、 大規模コードベースを理解し、 テストし、 改修し、 長時間の開発タスクを進めます。
そのAIを 何千人・何万人の開発者へ展開すると、 もはや「便利なアプリ」ではありません。
開発組織そのものを動かすインフラ になります。
そしてBarclaysでは、 AIがコードだけでなく、 顧客対応ナレッジや Global Marketsのメール処理にも 広がっています。
これは、 企業AIの最終形が 「全社員が1つのAIチャットを使うこと」 ではないことを示しています。
開発にはClaude Code、 顧客対応にはKnowledge Assistant、 オペレーションには業務特化AIという形で、 AIが部署ごとの仕事そのものへ埋め込まれていく のが次の段階です。
まとめ
Barclaysは2026年10月1日、 Anthropicとの協業を拡大し、 Claudeをグローバル業務へ さらに広く導入すると発表しました。
2026年末までに 開発者の50%がClaude Codeを利用し、 2027年には ソフトウェアエンジニアの過半数へ 拡大する計画です。
すでにBarclays UKでは、 Claudeを使ったColleague Knowledge Assistantを 1万6000人以上が利用し、 100万件を超える検索を処理しています。
Global Marketsでは、 Claudeが1日約12万通のメールを 分類・情報補完・ルーティングしています。
そしてソフトウェア開発では、 レガシーシステムの刷新、 コード品質の改善、 開発効率化へ Claude Codeを拡大します。
金融という 高いセキュリティ・ガバナンスが求められる業界で、 これほど広範囲にClaudeが導入されることは、 AIが実験ツールから 企業の標準業務基盤 へ移行していることを示す重要な事例です。
一次情報
Anthropic公式・2026年10月1日
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