Devin Desktopとは?
Devin Desktopは、Cognitionが提供するデスクトップ向けのAI IDEです。コードエディターに、複数のAIエージェントを管理する「Agent Command Center」を組み込んでいるのが特徴で、公式は「エージェント管理機能を内蔵したフル機能のIDE」と説明しています。手元のPCで動くローカルエージェント(Devin Local)、クラウドで動くDevin、CodexやClaude Agentなど他社のエージェントを1つの画面に並べ、計画・実装・テスト・レビューの進み具合をまとめて確認できます。2026年6月までは「Windsurf」という名前で提供されていました。
WindsurfからDevin Desktopへ
Devin Desktopは、Windsurfの名前だけを変えた製品ではありません。買収と製品の統合を経て、エージェント管理を中心にした次世代版として提供されています。
- 2025年7月14日:CognitionがWindsurfを買収する最終契約を締結(製品・知的財産・商標・チームを含む)。
- 2026年6月2日:WindsurfがDevin Desktopに改称。Agent Command Centerを標準の画面にした次世代版として提供開始。
- 2026年9月8日:Windsurf時代のエージェント「Cascade」が削除され、組み込みのローカルエージェントはDevin Localに一本化。
既存のWindsurf利用者には通常のアップデートとして配信され、プラン・料金・拡張機能・設定は引き継がれると案内されています。Cascadeでの会話も、Devin Localに移して続けられます。windsurf.comは現在devin.aiへ転送されており、正式な製品名はDevin Desktopです。JetBrains向けの「Windsurf for JetBrains」プラグインには旧名が残っていますが、Devin Desktop本体とは別のもので、メンテナンスモードとされています。
Devin(Cloud)・Devin CLIとの違い
Cognitionは製品を「Devin」ブランドにまとめています。名前が似ているため、役割を分けて理解するのがポイントです。
- Devin Desktop:エージェント管理機能を備えたIDE。手元のPCで開発する場所。
- Devin Cloud:クラウド上の専用マシンで、自律的に長時間作業するDevin。
- Devin CLI:ターミナルで使うDevin。Devin Localと同じ仕組みで動く。
- Devin Review:差分ごとのコードレビュー。
料金プランはこれらの製品で共通です。ただし、Devin Desktopを使うためにDevin Cloudを使う必要はなく、ローカルのエージェントだけで開発することもできます。Devin Cloudを使う場合は、Desktopで立てた計画をワンクリックでクラウドのDevinに渡し、PCを閉じた後も作業を続けてもらえます(Pro以上。Desktop内での利用は順次展開中とされています)。
Agent Command CenterとSpaces
Agent Command Centerは、Devin Desktopの中心となる画面です。エージェントのセッションが「作業中」「レビュー待ち」「完了」などの状態ごとにかんばん形式で並び、どの作業が止まっていて、どれが確認待ちかをひと目で把握できます。エディターに切り替えて、エージェントの変更を自分で手直しすることもできます。
Spacesは、1つのタスクやプロジェクトに関係するエージェントのセッション、プルリクエスト、ファイル、コンテキストをまとめる仕組みです。同じSpaceで新しいセッションを始めると、それまでのプロジェクトの文脈を引き継げるため、エージェントごとに同じ説明を繰り返す手間が減ります。
Devin Local(ローカルエージェント)
Devin Localは、Devin Desktopに組み込まれたローカルエージェントです。Devin CLIと同じ仕組みで動き、手元のファイル・ツール・開発環境にアクセスして、コードの調査、編集、コマンドの実行を行います。Cascadeの後継で、公式によるとCascadeよりトークン消費が最大30%少なく済みます。
- モード:通常・Plan(調査して計画を書き、承認後に実装)・Askの3つ。
- Git worktree:作業中のフォルダーに触れずに別のworktreeで作業し、完了後にマージ。
- 権限ルール:ファイルの読み書き、コマンド実行、MCPツールなどを「許可」「確認」「拒否」で制御。
- サンドボックス:OSレベルでファイルやネットワークへのアクセスを制限。
- サブエージェント:作業の一部を別のエージェントに任せる(プレビュー)。
Cascadeにあった「Memories」「Workflows」「App Deploys」などは、Devin Localでは使えません。繰り返し使う手順はSkillsにまとめる形に変わっています。
ローカル・クラウド・他社エージェントを並べて使う
エージェントを動かす場所は「Local」「Worktree」「Cloud」から選べます。小さな修正は手元のDevin Localで、時間のかかる作業はクラウドのDevinに任せる、といった使い分けが可能です。
さらに、ACP(Agent Client Protocol)に対応したエージェントを追加できます。公式はCodex CLI、Claude Agent、OpenCode、Junie、Gemini CLIや自社製のエージェントを例に挙げています。ACPは公式ドキュメント上プレビュー扱いで、Pro・Max・Teamsで利用できます。ACPで追加した他社エージェントにはDevin Desktopの規約やプライバシーポリシーは適用されず、料金も各提供元との契約になります。複数エージェントの連携(multi-agent support)は、公式の発表で研究プレビューとして紹介されている部分もあり、今後変わる可能性があります。
エディター・ターミナル・ブラウザ
Devin DesktopはIDEとしての機能もそろっています。シンタックスハイライト、補完、デバッグ機能を備え、WindsurfやVS Codeの拡張機能・キーバインドと互換性があります。初回起動時にはVS CodeやCursorの設定を取り込め、SSHやDev Containerでリモート環境に接続して開発することもできます。
ターミナルでは、自然言語からコマンドを作る「Command」(Cmd/Ctrl+I)や、エラー出力を選択してエージェントに送る機能があります。Browser Previewsを使うと、ローカルで動かしているWebアプリをIDE内やChrome系ブラウザで表示し、画面の要素やコンソールのエラーをそのままエージェントに渡して修正を依頼できます。
Tab・Fast Context・Quick Review
- Tab:入力中のコードの続きを予測して補完する機能。全プランで無制限に使える。
- Fast Context:エージェントが必要なファイルや行を高速に探し出すコード検索。
- Quick Review:エージェントが作った差分を素早くレビューし、バグや気になる点を指摘する。
このほか、コードの構造を図にするCodemaps、リポジトリの解説を作るDeepWiki、コミットメッセージの自動作成などの機能があります。
MCP・Skills・Hooksで拡張する
Devin DesktopはMCP(Model Context Protocol)に対応しています。Slack、Linear、Notion、Figma、Sentry、Stripe、Vercel、Datadog、Atlassian(Jira・Confluence)などのMCPサーバーをつなぐと、エージェントが外部ツールの情報を使って作業できます。Devin Localでは、MCPツールを呼び出す前に確認を求めるのが初期設定です。
プロジェクトのルールはAGENTS.mdや.devin/rulesに書いておけます(Windsurf時代の.windsurfrulesも読み込まれます)。繰り返し使う手順はSkills、特定のタイミングで処理を挟むならHooks、まとめて配布するならPluginsを使い、エージェントの動きをチームに合わせて調整できます。
GitHub・GitLabなどとの連携
GitHub、GitLab、Bitbucket、Slack、Microsoft Teams、Linear、Jiraとの連携は、Devin(Cloud)側の機能としてPro以上のプランで使えます。たとえばGitHubと連携すると、クラウドのDevinがプルリクエストを作成し、レビューコメントに対応できます。Devinにアクセスさせるリポジトリは、GitHub側で選べます。
これとは別に、VS CodeやCursorの設定の取り込みやMCPサーバーの接続は、Devin Desktop側で行う設定です。外部サービスとの連携と、設定の取り込みは別のものとして考えると整理しやすいでしょう。
無料プランでできること
Devin DesktopにはFreeプラン(0ドル)があります。公式の料金ページでは、Freeプランの内容が次のように案内されています。
- エージェントでコーディングするための少なめの利用枠。
- 利用できるモデルは一部に限られる。
- Tab補完とインライン編集は無制限。
- Fast Contextを利用できる。
一方、Freeプランでは上位モデル(Premium models)、Devin Cloud、Devin API、GitHubやSlackなどとの連携は使えません。利用枠の具体的な量は公開されておらず、上限に達したら日次・週次のリセットを待つ必要があります。エディターとローカルエージェントを試すためのプランと考えるとよいでしょう。
Devin Desktopの料金
2026年10月5日にDevin公式サイトで確認した料金は次のとおりです(米ドル・月額表記)。年額プラン、日本円での価格、税の扱いは公式ページで確認できませんでした。
- Free:0ドル。
- Pro:月20ドル。利用枠が増え、OpenAI・Claude・Geminiなどのフロンティアモデルとオープンソースモデルを利用可能。Devin Cloud、Devin API、各種連携にも対応。
- Max:月200ドル。Proの内容に加え、利用枠が大幅に多い。
- Teams:月80ドルから。full seatは1席あたり月40ドルで、最大200人まで。
- Enterprise:要問い合わせ。SAML/OIDCのシングルサインオン、専用環境での導入などに対応。
ProとMaxは1人用のプランです。Teamsプランでは、Devin Desktopを使えるのはfull seatのメンバーだけで、無料のflex seatではDevin Desktopを使えません。full seatが2席未満の場合は、月80ドルの最低料金との差額がチームで共有する前払いのクレジットとして請求されます。新しく契約するTeamsプランにはシングルサインオンは含まれません。
利用量の仕組み
Devin Desktopは2026年3月に、クレジット制から利用枠(quota)制に変わりました。
- 各プランには日次と週次の利用枠があり、自動でリセットされる(Maxは週次のみで、日次の上限はない)。
- 枠の消費量は、選んだモデルのトークン単価と、やり取りしたトークン量で決まる。
- Pro・Max・Teamsでは、枠を使い切った後も追加の利用分(モデルのAPI価格で課金)を購入して作業を続けられる。
- Freeは追加購入できず、リセットを待つ。
各プランの利用枠の具体的な量は公開されていません。公式は、定型作業には軽いモデルを使う、指示を簡潔にする、といった節約方法を案内しています。ChatGPT PlusまたはProを契約していれば、GPT系モデルの利用分をChatGPTのプランで支払うこともできます。
使えるAIモデル
Devin Desktopでは、エージェントに使うモデルを自分で選べます。主な種類は次のとおりで、ラインナップは頻繁に変わります。
- 他社のモデル:OpenAIのGPT系、AnthropicのClaude系、GoogleのGemini系、xAIのGrok系のほか、KimiやGLMなどのオープンソース系モデル。
- Cognitionの自社モデル:ソフトウェア開発向けのSWE-2(最新)、SWE-1.7、SWE-1.6など。
- 組み合わせ・自動選択:Fusion(性能の高いリードモデルと低コストのモデルを組み合わせる。有料プラン向けで、公式が推奨)、Adaptive(依頼内容に応じてモデルを自動で選ぶ)。
- 機能専用のモデル:Tab補完、Fast Contextの検索、Quick Reviewには、それぞれ専用の自社モデルが使われる。
Freeプランで使えるモデルは一部に限られ、具体的な一覧は公開されていません。なお、ACPで追加するCodexやClaude Agentはモデルではなく別のエージェントで、モデルや料金は各提供元のものになります。
日本語で使える?
Devinの公式ドキュメントには日本語版があり、Devin(Cloud)のWeb画面は日本語表示に対応しています。一方、Devin Desktop本体の画面が日本語に対応しているか、日本語でのサポートがあるかは、公式情報では確認できませんでした。日本語で指示したときの回答の質は、選んだモデルによって変わります。Devin Desktopとして日本語対応を保証する記載はないため、OmochiXでは「一部対応」としています。
API
Devin Desktopそのものを外部から操作する一般向けのAPIはありません。APIは用途によって次のように分かれます。
- Devin API:クラウドのDevinのセッションを作成・操作するREST API。Pro以上で利用でき、サービスユーザーのAPIキーなどで認証する。
- Devin MCPサーバー:MCPに対応したAIツールから、Devinのセッションやナレッジを操作する。
- Devin Desktop API:Enterprise向けの、利用状況の分析や利用量の設定を行うAPI。
一般向けの公式SDKは確認できませんでした。
商用利用
Cognitionの利用規約では、サービスが生成したコードなどの出力の権利は利用者に譲渡され、法律で認められる範囲で利用者のものになるとされています。公式のセキュリティページでも、出力は商用目的に使えると説明されています。ただし、次の点に注意が必要です。
- 出力は、他の利用者への出力と同じか似たものになる場合がある。
- サービスは現状のまま提供され、出力の正確性は保証されない。使う前に確認するのは利用者の責任。
- 第三者から知的財産権の侵害を主張された場合の防御・補償は、有料プランのみで条件付き。
- Devinと競合する製品やAIモデルの開発に使うことは禁止されている。
- ACPで使う他社エージェントは、それぞれの提供元の規約に従う。
AIが書いたコードにも、バグや脆弱性、既存コードのライセンスに関わる問題が含まれる可能性があります。公開や納品の前に、通常のコードと同じようにレビューとテストを行いましょう。
プライバシーとセキュリティ
利用規約では、利用者のデータがモデルの学習に使われる場合があるとされています。学習への利用をオフ(オプトアウト)にできるのは有料プランだけで、オプトアウトするとモデル提供元でデータを保存しない設定(Zero Data Retention)も有効になります。Teamsプランでは管理者のみが設定でき、Freeプランではオプトアウトできません。Enterpriseでは、書面での同意がない限り学習に使われません。
CognitionはSOC 2 Type IIの認証を取得しています。Enterpriseでは、SAML/OIDCのシングルサインオン、SCIM、ロールによる権限管理、IPアドレスによるアクセス制限などを利用できます。手元では、Devin Localの権限ルールやサンドボックス、.devinignoreで、エージェントが触れる範囲を絞れます。ACPで追加した他社エージェントには、Devin Desktopのプライバシーポリシーが適用されない点にも注意してください。
Devin Desktopのメリット
- ローカル・クラウド・他社のエージェントを1つの画面で管理できる。
- IDEとしての機能がそろっていて、エージェントの変更をその場で確認・修正できる。
- Planモード、worktree、Quick Reviewなど、エージェントの作業を確かめる仕組みが多い。
- 多くのモデルから選べ、Fusionなどでコストと性能のバランスを調整できる。
- Windsurfの設定や拡張機能をそのまま引き継げる。
Devin Desktopの注意点
- Freeプランは利用枠が少なく、上位モデル・Devin Cloud・外部サービスとの連携が使えない。
- 有料プランの利用枠の具体的な量は公開されておらず、使い方によっては追加料金が発生する。
- 学習へのデータ利用をオフにできるのは有料プランのみ。
- Desktop本体の日本語表示と日本語サポートは確認できない。
- Cascadeは削除済みで、MemoriesやWorkflowsはDevin Localでは使えない。
- ACPや複数エージェントの連携など、プレビュー段階の機能がある。
- 製品名・機能・モデルの変化が速く、情報が古くなりやすい。
Cursor・Claude Code・GitHub Copilotとの違い
CursorはVS CodeをベースにしたAIエディターで、エディターの中でAIと一緒にコードを書く使い方が中心です。Devin DesktopもIDEですが、複数のエージェントを並べて管理する画面を標準にし、クラウドのDevinとの連携まで含めている点が異なります。
Claude CodeはAnthropicのエージェント型コーディングツールで、ターミナルやIDEから自然言語で作業を任せる使い方が中心です。Devin DesktopではClaude AgentをACP経由で動かせるため、どちらか一方を選ぶだけでなく、Devin Desktopを管理画面として組み合わせる使い方もできます(その場合の料金と規約はAnthropic側のものです)。
GitHub Copilotは、VS CodeやJetBrainsなど既存のIDEに追加して使え、GitHub上のcloud agentやコードレビューと一体で使えるのが強みです。今のIDEやGitHub中心の開発環境を変えたくないならGitHub Copilot、エージェントを中心にした開発環境に移りたいならDevin Desktop、という選び方ができます。
どんな人におすすめ?
複数のAIエージェントに作業を並行して任せ、その進み具合やレビューを1か所で管理したい開発者やチームに向いています。Windsurfを使っていた人は、設定や拡張機能を引き継いでそのまま移行できます。手元での開発と、クラウドでの長時間の作業を組み合わせたい場合も選択肢になります。一方、AIによるコード補完だけで十分な人や、無料のままデータを学習に使われないようにしたい人には向きません。AIを使った開発の全体像は、AI開発完全ガイドも参考にしてください。
Devin Desktopの使い方
- devin.aiからDevin Desktopをダウンロードしてインストールする(Windows・macOS・Linuxに対応)。
- 初回起動時にテーマを選び、必要ならVS CodeやCursorの設定を取り込む。
- Devinアカウントでログインする(アカウントは無料で作成できる)。
- プロジェクトのフォルダーを開くか、リポジトリをクローンする。
- 開始画面の入力欄にやりたいこと(例:このコードベースの構造を説明して)を書き、Devin Localのセッションを始める。
- 大きな変更はPlanモードで計画を確認してから実装し、Quick Reviewと自分の目で差分を確かめてからコミットする。
FAQ
Q. Windsurfはもう使えないのですか。
A. WindsurfのIDEは2026年6月2日にDevin Desktopへ改称され、既存の利用者にはアップデートとして配信されました。プランや設定は引き継がれます。JetBrains向けのWindsurfプラグインは名前が残っていますが、メンテナンスモードです。
Q. Devin Desktopは無料で使えますか。
A. Freeプランがあり、Tab補完とインライン編集は無制限です。エージェントの利用枠は少なめで、上位モデルやDevin Cloud、外部サービスとの連携は使えません。
Q. DevinとDevin Desktopは同じものですか。
A. 同じDevinブランドの別の製品です。Devin DesktopはPCで使うIDE、Devin Cloudはクラウドで自律的に動くエージェントです。Desktopからクラウドに作業を任せることもできますが、ローカルのエージェントだけでも使えます。
Q. Devin DesktopでClaude CodeやCodexを使えますか。
A. ACP(プレビュー)に対応したエージェントを追加でき、公式はClaude AgentやCodex CLIを例に挙げています。Pro・Max・Teamsで使え、料金や規約は各提供元のものになります。
Q. 日本語で使えますか。
A. 公式ドキュメントには日本語版がありますが、Desktop本体の日本語表示や日本語でのサポートは確認できませんでした。日本語で指示したときの品質は、選んだモデルによって変わります。
Q. 入力したコードはAIの学習に使われますか。
A. 初期設定では学習に使われる場合があります。オフにできるのは有料プランのみで、Freeプランではオフにできません。