Adobe Fireflyとは?
Adobe Fireflyは、Adobeが提供する生成AIのサービスです。Adobeは「AIを活用したクリエイティブスペース」と位置づけており、画像の生成だけでなく、画像・動画・音声・ベクターの生成と編集、アイデア出しのためのボード、PhotoshopなどAdobeアプリとの連携までを1つの場所で扱えます。Adobeが自社で開発したFireflyモデルに加え、GoogleやOpenAIなど他社が開発した「パートナーモデル」も同じアプリの中で選んで使えるのが特徴です。
Fireflyでできること
- 画像の生成と編集(Generative Fill、Generative Expandなど)
- テキストや画像からの動画生成と、動画の編集
- 効果音・音楽・音声(ナレーション)の生成、音声と動画の翻訳
- テキストからのベクター画像の生成
- Firefly Boardsでのムードボードやストーリーボードづくり
- 作った素材をPhotoshop、Premiere、Adobe Expressなどで仕上げる
Web版(firefly.adobe.com)のほか、iOSとAndroidのモバイルアプリでも使えます。企業向けには、APIのFirefly Services、自社素材で学習させるCustom Models、制作作業を自動化するCreative Production、Adobeが企業の知的財産でモデルを作るFirefly Foundryなどが別に用意されています。
Adobeの最新モデル(2026年10月時点)
2026年10月6日時点で、画像の最新モデルはFirefly Image 5です。用途に応じて、Firefly Image 4、Firefly Image 4 Ultra、Firefly Image 3も選べます。動画の生成にはFirefly Video、音声の読み上げにはFirefly Speechのモデルが使われます。効果音、音楽、音声と動画の翻訳、ベクターの生成もAdobeの機能として提供されています。Adobeは、自社のFireflyモデルについて、商用利用を前提に学習データを選んでいると説明しています。
パートナーモデル(他社のAIモデル)
Fireflyでは、Adobe以外の企業が開発したモデルも選べます。2026年10月6日時点の公式ヘルプでは、次のようなモデルが案内されています。
- 画像:Gemini 3・Gemini 3.1(Nano Banana)、Imagen 3・4、GPT Image、FLUX、Ideogram 3.0、Runway Gen-4 Image
- 動画:Veo、Kling、Luma、Runway、Gemini
- 音声:ElevenLabs(Generate Speech)
- 高解像度化:Topaz(Firefly Boards)
パートナーモデルを選ぶと、Adobe以外が開発したモデルであることの確認が表示されます。学習データの方針や商用利用の考え方はAdobeのモデルと同じではなく、Adobeは「パートナーモデルの出力が案件に適しているかは利用者が判断する」と案内しています。提供されるモデルは随時追加・終了されます。
画像生成
文章(プロンプト)から画像を作る基本機能です。縦横比、写真かアートかを選ぶコンテンツの種類、色やライティング、カメラアングルなどの効果を指定できます。参考画像を使って構図を合わせる「構成参照」と、雰囲気やスタイルを合わせる「スタイル参照」もあります。プロンプトを自動で補う機能や、速く生成するFastモードも用意されています。生成した画像はPNGまたはJPGで保存できます。
画像編集(Generative Fillなど)
Fireflyでは、生成した画像や手持ちの画像を、文章による指示で編集できます。
- Generative Fill:選んだ範囲に物を追加したり、置き換えたりする
- Generative Remove:不要な物を消す
- Generative Expand:画像の外側を広げて描き足す
- AI Markup:描き込みで範囲を指定して、部分的に編集する
- 背景の削除、高解像度化
雰囲気全体を変えるPrecision Flowはベータです。Generative FillやGenerative ExpandはPhotoshopにも搭載されており、Fireflyで作った画像をPhotoshopで仕上げる使い方もできます。
動画生成と動画編集
テキストや静止画から動画を作れます。参考動画の構図に合わせる機能、参考動画からカメラの動きを取り込む機能、ショットサイズやカメラアングルの指定、背景が透明な動画の生成にも対応しています。生成した動画は文章で修正したり、高解像度化したりできます。フレームレートは24fpsです。動画の長さはモデルによって異なり、多くのモデルは最大8秒、一部は最大15秒まで生成できます。セリフや効果音が入った動画は、Veo 3.1やKling 3.0などのパートナーモデルの機能として紹介されているもので、Firefly Videoがいつも音声付きで生成するわけではありません。動画の翻訳やアバターの動画作成、タイムラインで編集できるFirefly video editor(ベータ)もあります。なお、画像から動画を作る機能は、地域や利用者の種類によって使えない場合があります。
音声(効果音・音楽・音声・翻訳)
- Generate Sound Effects:文章や、自分の声で音のイメージを伝えて効果音を作る
- Generate Music:動画の雰囲気や長さに合わせた曲を作る
- Generate Speech:文章を音声にする。感情、トーン、発音、間を調整できる
- Translate audio/Translate video:話者の声の特徴を保ったまま、20以上の言語に翻訳する
- Enhance Speech:雑音を減らし、声を聞き取りやすくする
Firefly SpeechモデルのGenerate Speechは、2026年10月6日時点で日本語に対応していません。対応言語は英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語(普通話)、ヒンディー語などです。
ベクター生成
Text to vectorで、文章からロゴの素案やアイコン、イラストなどのベクター画像を作れます。Fireflyのアプリから利用でき、Fireflyモデルのほか、パートナーモデルとしてGPT ImageとIdeogram 3.0も選べます。IllustratorにもAIでベクターを生成する機能がありますが、Fireflyのアプリとは入口が別です。
Firefly Boards
Firefly Boardsは、無限に広がるキャンバスで画像や動画を生成・編集し、ムードボードやストーリーボードとしてまとめられる作業スペースです。チームで共有してコメントし合えるため、企画の方向性を固める段階に向いています。Adobeのモデルとパートナーモデルの両方を使えます。
Adobeアプリとの連携
Fireflyで作った素材は、Photoshop、Illustrator、Premiere、Lightroom、Adobe Expressなどに持ち込んで編集を続けられます。Fireflyの動画エディターではAdobe Stockの素材も使えます。生成クレジットは、これらのAdobeアプリの生成AI機能でも共通で使われます。企業向けには、FigmaやAdobe GenStudioとの連携も用意されています。
無料プランでできること
Adobe Fireflyには、プランに加入しなくても使える無料枠(Firefly Free)があります。画像・動画・音声で、一部のモデルを使った無料の生成が毎日でき、上限は毎日回復します。有料プランの無料体験とは別のものです。無料枠で作った素材の商用利用の条件や透かしの有無は、料金ページではっきり示されていないため、仕事で使う前に最新の規約を確認しましょう。
料金プラン
2026年10月6日時点の日本向けの通常価格です(税込、月額)。
- Firefly Free:0円(毎日の無料生成)
- Firefly Standard:1,580円(毎月2,000クレジット)
- Firefly Pro:3,180円(毎月4,000クレジット)。Pro以上のプランにはPhotoshopのWeb版・モバイル版とAdobe Express Premiumが含まれる
- Firefly Pro Plus:6,600円(毎月10,000クレジット)
- Firefly Premium:31,680円(毎月50,000クレジット)。Generate VideoでFirefly Videoモデルを無制限に使える
チーム向けにはPro、Pro Plus、Premiumのfor teams版(1ライセンスあたり同じ月額、年間契約)があり、管理ツールとサポートが付きます。大企業向けのプランは個別の相談です。料金ページには期間限定の割引やキャンペーンが表示されることがあるため、通常価格と分けて確認しましょう。
生成クレジットの仕組み
有料プランでは、Generate Image、Generative Fill、Generative Expand、Text to vectorなどの標準的な画像機能を、クレジットの残りに関係なく使えます。一方、動画、効果音、音楽、音声、翻訳、パートナーモデルの利用といったプレミアム機能では、毎月のクレジットを消費します。消費量は機能、モデル、解像度によって異なり、「1クレジットで何ができる」という一律の換算はありません。クレジットは毎月の請求日にリセットされ、翌月には繰り越せません。足りない場合は、上位プランへの変更や追加クレジットの購入で補えます。なお、「無制限」は標準の画像機能と、PremiumでのFirefly Videoモデルの利用に関するもので、すべてのモデルや機能が無制限になるわけではありません。
Creative Cloudとの関係
Creative Cloud Pro(月額9,080円、税込)には、毎月4,000のFireflyクレジットと20以上のCreative Cloudアプリが含まれます。Creative Cloudに加入すればFireflyのすべての機能が無制限に使えるわけではなく、プレミアム機能はプランのクレジットの範囲で使います。Photoshopなど主要アプリを日常的に使うならCreative Cloud、生成AIが中心ならFireflyのプラン、という選び方になります。
商用利用と権利
AdobeのFireflyモデルで作った出力は、商用のプロジェクトで使えます。ベータの機能でも、製品の中で別に示されていない限り商用利用できると案内されています。Adobeは自社モデルを「商用利用に適した(commercially safe)」モデルと説明していますが、これは学習データの選び方に基づく説明で、出力が他人の著作権などを侵害しないことを保証するものではありません。Adobeのヘルプでも、著作権については各地域の専門家に相談するよう案内されています。パートナーモデルの出力は、Adobeのモデルと同じ条件とは限りません。案件で使えるかどうかを、利用者自身で確認する必要があります。また、Adobeの生成AIの利用ガイドラインでは、他人の著作物や商標を再現させるプロンプトや、権利のない参考画像のアップロードが禁止されています。
学習データとユーザーのコンテンツ
AdobeのFireflyモデルは、Adobe Stockなどのライセンスを得たコンテンツと、著作権の切れたパブリックドメインのコンテンツで学習していると説明されています。これはAdobeのモデルについての説明で、パートナーモデルの学習データには当てはまりません。また、Adobeは、Creative Cloud利用者の個人のコンテンツを、FireflyのモデルやパートナーモデルのAI学習に使わないと説明しています。ただし、Adobe Stockに投稿された作品は、投稿者との契約に基づいて学習データに含まれます。Fireflyのコミュニティギャラリーに作品を投稿した場合は、画像とプロンプトがAdobeの紹介ページなどで使われることに同意したことになります。
Content Credentials
Fireflyで100%生成した素材には、Content Credentials(コンテンツ認証情報)が自動で付けられます。発行者、日付、使ったアプリやAIツール、編集の種類などを記録するメタデータで、改ざんされると分かる仕組みです。個人情報は含まれません。ファイルに付くほか、Adobeのクラウドに保存される場合があり、専用ツールで確認できます。Adobeの規約では、Content Credentialsを削除・変更することは禁止されています。
法人向け:API・Custom Models・IP補償
Firefly Servicesは、FireflyのAPIのほか、Photoshop、Lightroom、Illustrator、InDesign、Adobe Express、Substance 3D、音声・動画(翻訳と口の動きの同期、音声合成、アバター)、Creative Productionなどの機能をAPIで使えるサービスです。Firefly APIはFirefly Image 5にも対応しています。主に企業向けに販売されており、個人向けのFireflyプランには含まれません。公開された単価表は確認できず、Webのプランの生成クレジットとは別の契約になります。Custom Modelsは、自分の画像でモデルを学習させ、自分のスタイルに合った画像をFireflyやFirefly Boardsで作る機能で、Creative Cloud利用者向けに公開ベータとして提供されています。企業向けにはAPIでも使えます。Firefly Foundryは、Adobeの専門チームが企業の知的財産をもとにモデルを作る企業向けの別サービスです。知的財産権に関する補償(IP補償)は、条件を満たす企業向けプランの顧客が、一部のFirefly出力を対象に受けられるものです。個人向けプランに自動で付くものではありません。
プライバシーとセキュリティ
Adobeの生成AIの利用ガイドラインでは、悪用防止のため、プロンプトや入力、生成結果が自動と手動の両方で確認される場合があるとされています。健康情報や正確な位置情報などの機微な個人情報は入力しないよう案内されています。セキュリティ面では、AdobeのTrust Centerで、FireflyはCreative Cloud for enterpriseを構成するサービスの1つとして扱われています。チーム向けプランでは、Admin Consoleでライセンスを管理できます。なお、Fireflyはロシア、ベラルーシ、中国では利用できません。
日本語対応と対応デバイス
Fireflyの画面は日本語で表示でき、ヘルプや料金ページにも日本語版があります。プロンプトは100以上の言語で入力でき、日本語で指示できます。一方で、Generate Speechは日本語に対応しておらず、音声と動画の翻訳で日本語が使えるかは公式情報で確認できていません。すべての機能が日本語に対応しているわけではない点に注意しましょう。対応デバイスは、Webブラウザ(パソコン・スマートフォン)、iOSアプリ、Androidアプリです。Firefly単体のデスクトップアプリはなく、WindowsやMacではブラウザで使います。
Midjourney・Canva AI・Runway・Veoとの違い
どれが優れているかではなく、どの作業を中心にするかで選ぶのがおすすめです。
- Midjourney:画像生成の表現力に特化したツール。Fireflyは画像に加えて動画や音声も扱い、Adobeアプリへの受け渡しまでを含めて使える。
- Canva AI:テンプレートを使ったデザイン制作の中でAIを使う。Fireflyは素材そのものの生成と編集が中心。
- Runway:動画制作や映像表現に特化したツール。Fireflyの中でもRunwayのモデルをパートナーモデルとして使える。
- Veo:Googleの動画生成モデル。Fireflyではパートナーモデルの1つとして選べるため、ツールとモデルという関係になる。
おすすめの人と基本的な使い方
- PhotoshopやPremiereなどAdobeのアプリを使っているクリエイター
- 広告やSNS用の画像・動画をまとめて作りたい担当者
- Adobeのモデルと他社のモデルを1か所で比べたい人
- ブランドの素材を大量に作りたい企業(法人向けサービス)
- firefly.adobe.comを開き、Adobeアカウントでログインする(無料枠から試せる)。
- 画像・動画・音声など作りたいものを選ぶ。
- モデルを選び、プロンプトを入力して生成する。
- Generative Fillなどで仕上げ、ダウンロードするかAdobeアプリで編集を続ける。
よくある質問
Q. Adobe Fireflyは無料で使えますか。
A. 使えます。無料枠では、画像・動画・音声の一部のモデルで毎日無料の生成ができ、上限は毎日回復します。
Q. Fireflyで作った画像は商用利用できますか。
A. Adobeのモデルで作った出力は商用利用できます。ただし著作権侵害がないことの保証ではありません。パートナーモデルの出力は、使えるかどうかを自分で確認する必要があります。
Q. パートナーモデルとは何ですか。
A. GoogleやOpenAIなど、Adobe以外が開発したAIモデルです。Firefly内で選べますが、学習データや商用利用の考え方はAdobeのモデルと同じではありません。
Q. 生成クレジットは繰り越せますか。
A. 繰り越せません。毎月の請求日にリセットされます。有料プランでは、標準の画像機能はクレジットを使い切っても利用できます。
Q. 日本語で使えますか。
A. 画面、ヘルプ、プロンプトは日本語で使えます。ただし、Generate Speechは日本語に対応していません。
Q. 自分の作品がAIの学習に使われますか。
A. Adobeは、Creative Cloud利用者の個人のコンテンツをFireflyやパートナーモデルの学習に使わないと説明しています。Adobe Stockへの投稿作品は、契約に基づいて学習に含まれます。