Claude Codeが、本番エラーの情報を見ながらコードを調べる。Sentry MCPを接続すると、Issueやスタックトレースなどの運用データを、原因調査と修正のための情報として利用できます。
エラーを人がコピーしてAIへ渡す手間を減らし、調査からコード修正、テストまでをつなぎやすくする連携です。本記事では接続方法、Seerとの違い、実務で使う際の確認点を整理します。
3行まとめ
- Sentry MCPは、AIエージェントからSentryのデータや機能へ接続する公式MCPサーバーです。
- Claude CodeではHTTP接続とOAuth認証を利用でき、Organization・Projectを指定した接続も案内されています。
- SeerからClaudeへ修正を渡す連携もありますが、接続しただけで本番修正やデプロイが自動化されるわけではありません。
この記事の更新内容
2026年10月26日確認:公式の接続手順を再確認し、プロジェクト指定URL、認証用CLI、9月29日のSeer Agent更新を追記しました。
本記事は公式情報に基づく手順解説です。OmochiXによる接続・障害修正の実機検証結果ではありません。
Sentry MCPとは?
Sentry MCPは、SentryとAIアシスタントをModel Context Protocolで接続する公式サーバーです。エラー検索、パフォーマンス分析、Issueの整理、ドキュメント参照、プロジェクト管理などの用途が案内されています。
Claude Codeから利用する場合は、取得した障害情報と手元のコードを照合しながら調査できます。
https://mcp.sentry.dev/mcp
本番の状況を、コード調査につなげる
コードだけでは再現できない問題でも、発生環境、スタックトレース、関連するイベントを合わせて見ることで、原因候補を絞りやすくなります。
何を調べるために使える?
Issueと発生状況
対象期間や環境を指定し、優先して確認するエラーを探します。
例外とコードの関係
スタックトレースを実装と照合し、失敗した処理を調べます。
処理の遅さや関連データ
利用可能なツールと記録済みデータに応じて、性能問題の調査に活用します。
Issueの整理や管理
調査以外の操作も含まれるため、利用するツールと権限を確認します。
取得できる情報は、Sentryに送信されているデータ、アカウント権限、利用可能なツールによって変わります。ソースマップやリリース情報が不足していれば、調査に使える材料も限られます。
Claude Codeへ接続する
1.MCPサーバーを追加
ターミナルで次のコマンドを実行します。
claude mcp add --transport http sentry https://mcp.sentry.dev/mcp
すでに同じ設定スコープへ「sentry」という名前で登録している場合は、重ねて追加せず既存設定を確認してください。
対象プロジェクトを指定する方法
Sentry公式は、可能な場合にプロジェクトを指定する接続を推奨しています。以下は上記の追加コマンドに代わる例です。organization-slugとproject-slugを実際の値へ置き換えます。
claude mcp add --transport http sentry https://mcp.sentry.dev/mcp/organization-slug/project-slug
対象を指定すると、ツールの既定のOrganization・Projectが絞られ、不要な探索用ツールが非表示になります。ただし、この指定をアカウント権限そのものの代わりとは考えず、認証時のアクセス範囲も確認してください。
2.OAuth認証を完了
Claude Code内で次を実行し、ブラウザの案内に沿ってSentryへログインします。
/mcp
対応するClaude Codeでは、ターミナルから認証フローを開始する方法も案内されています。
claude mcp login sentry
このホスト型MCPの接続ではOAuthを使います。SeerのClaude Agent連携や、別の外部サービス接続で必要になる認証とは区別してください。
3.接続状態を確認
claude mcp list
claude mcp get sentry
接続できない場合は、認証状態、URL、対象プロジェクトへのアクセス権限を確認します。
最初は対象を絞って調査する
「本番エラーを直して」と広く依頼する前に、環境、期間、プロジェクトを指定して状況を確認すると、調査結果を評価しやすくなります。
対象プロジェクトのproduction環境について、
過去24時間のエラーを調べてください。
発生件数と影響範囲をもとに、優先度の高いIssueを挙げ、
根拠となるIssue URLと調査期間を示してください。
この段階では、Issueの状態変更、コード変更、
PR作成、デプロイは行わないでください。
これは調査範囲を伝えるプロンプト例です。指示文だけで技術的な読み取り専用制限がかかるわけではないため、ツール権限も合わせて確認します。
Issueとコードをどう照合する?
次の表は説明用の架空例です。実際の障害記録ではありません。
| エラー | TypeError: Cannot read properties of undefined |
|---|---|
| 環境 | production |
| 観測 | 特定のリリース以降に件数が増加 |
| 調査対象 | Checkoutコンポーネントからpayment処理へ至る呼び出し |
| 確認すること | 入力値、失敗条件、該当リリースの実装、再現方法 |
現在のコードだけを見ると、障害が発生した時点のコードと異なる場合があります。リリースやコミットを特定し、スタックトレースがどの実装を指しているか確認することが重要です。
本番エラーから修正までの流れ
1.対象と影響を確認
環境、期間、Issue、発生件数、影響するユーザーや機能を整理します。
2.障害時の実装と照合
スタックトレースと該当リリースのコードを確認します。
3.原因候補を検証
観測できた事実と推測を分け、再現や追加調査で確かめます。
4.修正してテスト
失敗条件が解消されることと、周辺機能への影響を確認します。
5.レビュー・リリース後に再確認
差分を確認して公開し、同じエラーが継続していないか観測します。
発生時刻とデプロイの一致だけで原因を断定しない
デプロイ後にエラーが増えていても、外部APIやデータの変化が原因の可能性があります。変更履歴と失敗条件を合わせて確認しましょう。
SeerとClaudeの連携はMCPとどう違う?
Sentryは2026年5月13日、SeerのClaude Agent連携を一般提供したと発表しました。Seerの原因分析をClaudeへ渡し、修正コードとPull Requestの作成へつなげる機能です。
Claude CodeからSentry MCPを使う
コーディング環境を起点に、Sentryの情報を取得してコードと照合します。
SeerからClaude Agentへ渡す
Sentry側の原因分析を起点に、別途設定した連携で修正・PR作成へ進めます。
MCPを追加しただけで、後者の連携まで設定されるわけではありません。必要な契約、認証、リポジトリ接続、自動化設定は個別に確認してください。
追記:9月29日にSeer Agentの管理機能が拡張
Sentryは9月29日、Seer Agentからダッシュボードやアラートの作成、Issueの割り当て・解決・アーカイブなどを行える更新を発表しました。
同時にDatadogとGoogle Cloud Platformのデータを取り込む接続も案内しています。これらの接続はOAuthではなくAPIキーを使うという説明です。
Seer AgentとMCPの更新を混同しない
この発表はSeer Agentの機能拡張です。同じ操作がClaude Code側のMCPツールへすべて提供されると意味するものではありません。利用画面とツールごとに確認します。
SnapshotsでUIの差分も確認する
Sentryは2026年6月にSnapshotsのOpen Betaを発表しました。CIでスクリーンショットを比較し、意図しない見た目の変更を検出する機能です。
実行時エラーの調査と、画面の差分確認は異なる役割を持ちます。フォームが送信できるかという機能確認に加え、ボタンが隠れていないか、文字が崩れていないかといった確認を組み合わせると、修正の影響を捉えやすくなります。
Snapshotsや関連ツールの導入は別途必要です。Sentry MCPの接続だけで、スクリーンショット撮影やビジュアルテストが自動的に有効になるわけではありません。
ほかの開発ツールとの組み合わせ方
OmochiXでは、監視、コード修正、Preview、ブラウザ確認をつなぐ運用が有効だと考えています。以下は構成例であり、接続済みの標準機能を示すものではありません。
観測・調査
SentryのIssueと、必要に応じてDBやホスティングのログを確認。
修正・検証
Claude Codeで修正し、テストやPreviewで結果を確認。
公開後の確認
リリース後のエラーや性能を再び観測。
Vercel、Supabase、Playwrightなどを使う場合も、それぞれの接続設定と権限が必要です。各ツールを追加するだけで、常時監視や自動復旧の仕組みが完成するわけではありません。
権限とログの扱いで確認すること
障害情報には、URL、ユーザー入力、リクエスト情報などが含まれる場合があります。AIへ渡す範囲を考える前に、Sentryへ何を記録しているかも確認しましょう。
- 対象Organization・Projectと利用アカウントを確認する。
- 調査と、Issue変更・コード変更の権限を区別する。
- ログに認証情報や不要な個人情報を残さない。
- 取得したログ本文を、AIへの新しい操作指示として扱わない。
- 修正結果をテストし、本番反映は通常のレビュー手順で進める。
不要になった認証情報は、Claude Codeの「/mcp」にあるClear authentication、または対応するCLIからクリアできます。
claude mcp logout sentry
OmochiXの見解:観測できるAI開発へ
OmochiX編集部の見解
Sentry MCPの価値は、実際に起きた問題をコード調査へ持ち込める点です。修正案を作る速さに加え、どの障害を根拠に変更し、どう直ったことを確かめたかが重要になります。
AIが書いたコードも、本番環境からのフィードバックを受けて改善する必要があります。Issue、リリース、コード差分、テスト結果をつなげられれば、調査の引き継ぎも容易になります。
一方、PRが作られたことと、障害が解消したことは同じではありません。原因の妥当性と、公開後の観測まで含めて評価する運用が必要です。
まとめ
Sentry MCPを使うと、Claude Codeから運用データを参照し、コードと照合して障害を調べやすくなります。まずは対象プロジェクトと調査期間を絞り、根拠付きの調査結果を得るところから始めるとよいでしょう。
SeerのClaude連携やSnapshotsも組み合わせられますが、認証や自動化の設定はそれぞれ別です。調査、修正、公開、再確認の役割を整理して導入することが大切です。
関連記事
出典・参考情報
- Sentry MCP公式 — エンドポイント、接続方法、Organization・Project指定。
- Claude Code公式:Connect Claude Code to tools via MCP — MCP設定、OAuth、認証管理。
- Seer’s Claude integration is now generally available — 2026年5月13日公開。
- Seer Agent now manages more of Sentry for you and connects to external telemetry — 2026年9月29日公開。
- Snapshots is now in Open Beta — ビジュアル差分確認の公式発表。
対応機能、提供段階、利用条件は変更される場合があります。導入時は公式ドキュメントと利用中のアカウント設定を確認してください。
最終確認日:2026年10月26日