OmochiXを検索

Esc で閉じる

AIニュース

“会話しないAI”が登場。元OpenAI研究者のTypeSafeが「Jev」公開、AIを“判断エンジン”へ

AI NEWS / OmochiX ChatGPTやClaudeのように「人と会話するAI」とは、 まったく違う方向を目指すAIが登場しました。 TypeSafe AIが公開した新モデル 「Jev」 です。 Jevの大き […]

OmochiX 公開 更新 約10分で読めます
4637AE40 BE35 4F07 AC31 66CFB180D296
AI NEWS / OmochiX

ChatGPTやClaudeのように「人と会話するAI」とは、 まったく違う方向を目指すAIが登場しました。

TypeSafe AIが公開した新モデル 「Jev」 です。

Jevの大きな特徴は、文章を書くことではありません。

分類する。
採点する。
振り分ける。
判断する。

つまり、AIをチャットボットとして使うのではなく、 ソフトウェア内部で大量の意思決定を行う「判断エンジン」として使う ことを目指したモデルです。

AIが「人に答えるもの」から、 「ソフトウェアの中で仕事を動かすもの」 へ変わっていく可能性を示す、興味深い発表です。

TypeSafe AIが「Jev」を公開

Jevを開発したTypeSafe AIは、元OpenAI研究者のDiogo Almeida氏が率いるAI企業です。

Almeida氏はOpenAI時代、言語モデルが人間の指示に従いやすくなるための研究に携わり、 その研究はChatGPTにつながる技術の一部となりました。

そのAlmeida氏が今回挑戦しているのが、 従来のチャット型AIとは異なる 「System One Model」 という考え方です。

TypeSafeは約2年間ステルス状態で開発を進め、 最初の公開モデルとしてJevをEarly Accessで提供開始しました。

FUNDING
$40M

TypeSafe AIは、DCVC主導で 4,000万ドルのシード資金調達 も発表しています。

Jevは「文章を作らないAI」

現在の多くのLLMは、入力された文章を読み、 その続きを1トークンずつ生成します。

ChatGPTに質問すると文章が返ってくるのは、 この仕組みがベースです。

一方、Jevは基本的に自由な文章を生成することを目的としていません。

代わりに、事前に決められた形式で 「判断」と「確率」 を返します。

例えば問い合わせ対応なら
✓ 営業問い合わせか
✓ サポート問い合わせか
✓ 緊急度は高いか
✓ 人間へ引き継ぐ必要があるか

こうした複数の判断をAIが行い、 その結果をソフトウェアが直接利用できます。

Jevを簡単に言うと
「自然言語を理解できる
高性能な判断レイヤー」
JEV GUIDE
Jevをもっと詳しく知りたい方へ

Choice・Score・Noulの使い方、API、TypeScript実装、 CRMやAIエージェントへの組み込み方は別ページで詳しく解説しています。

なぜチャットを捨てると高速になるのか

一般的なLLMは文章を1トークンずつ順番に生成します。

長い回答を作るほど、 処理時間も計算量も増えていきます。

Jevはこの自由文生成を行わず、 あらかじめ定義した判断結果を返すことに特化しています。

INPUT COST
$0.042
/ 100万token
OUTPUT COST
無料
出力トークン
LATENCY
70〜500ms
公表応答時間

TypeSafeは、System One型の処理において 40〜200倍高速になるケース があるとしています。

TYPESAFE WORKFLOW EVALS
193.6×
高速
444.6×
低コスト
⚠ 数字を見るときの注意

これらは現時点では TypeSafe自身が実施した評価 です。 すべてのAI処理が常に同じ速度・コスト改善になるという意味ではありません。 今後は第三者検証や実環境での評価も重要になります。

新しい学習方法「RLCD」

TypeSafeは、Jevの学習方法として RLCD(Reinforcement Learning for Calibrated Decisions) という手法を採用しています。

Jevでは単純な判断だけではなく、 「どれくらい確信を持ってその判断をしているのか」 まで含めて扱うことを重視しています。

不正取引の可能性 98%
解約する可能性 74%
営業案件の可能性 91%

ソフトウェア側では、 この確率を利用して自動化のレベルを変えることもできます。

自動化ルールの例
95%以上 → 自動処理
70〜95% → 追加確認
70%未満 → 人間へ

AIにすべてを任せるのではなく、 判断の確実さに応じて自動化レベルを変える という設計ができます。

「Zero Hallucinations」はどういう意味?

TypeSafeはJevについて 「Zero Hallucinations」と表現しています。

ただし、「Jevが絶対に判断を間違えない」という意味ではありません。

Jevでは出力形式が最初から決められているため、 存在しない項目を勝手に生成したり、 要求されたデータ形式から外れたりすることを防ぐ設計になっています。

たとえばA・B・Cの3択から選ばせた場合に、 突然「D」という存在しない選択肢や長い文章を返す、 といった問題を防ぎやすくなります。

一方で、A・B・Cのうち 間違った選択肢を選ぶ可能性そのものは残ります。

つまりJevの強みは「絶対に正しいAI」というより、 ソフトウェアが扱いやすい形で安定して判断結果を返せるAI という点にあります。

Jevが向いている仕事

Jevが特に向いているのは、 文章生成ではなく 大量の小さな判断が繰り返し発生する業務 です。

問い合わせ・メールの分類
営業Leadの優先度判定
リスク・緊急度の判定
AIエージェントのルーティング

Choice・Score・Noulの具体的な使い分けやAPI実装は、 OmochiX Learn「Jevの使い方」 で詳しく解説しています。

GPTやClaudeが不要になるわけではない

Jevが登場したからといって、 ChatGPTやClaudeのようなLLMが不要になるわけではありません。

むしろ、 「判断」と「生成」を別のAIへ分担する という設計が考えられます。

DECISION
Jev
判断するAI
GENERATION
GPT / Claude
生成するAI

例えばAIメディアでは、 次のような構成が考えられます。

100件のニュースを取得
↓
Jevが重要度・カテゴリーなどを判定
↓
必要な記事だけGPT / Claudeへ
↓
記事生成
↓
判定・公開フローへ

高性能LLMにすべてを任せるのではなく、 「判断」と「生成」でAIを分業させる という考え方です。

AIエージェントの「判断レイヤー」になる可能性

AIエージェントでは、 タスクを進めるたびに小さな判断が何度も発生します。

このメールに返信するべきか。
この顧客を営業担当へ送るべきか。
次にどのツールを使うべきか。
人間の承認が必要か。

こうした処理を毎回大型LLMへ依頼すると、 コストや待ち時間が積み上がります。

Jevのようなモデルが実運用でも高速・低コストに機能すれば、 AIエージェントの裏側で 大量の小さな判断を処理するレイヤー として活用される可能性があります。

Model RoutingやAgent Skillなどの具体的な実装方法については、 今後OmochiXのCase / Labでも取り上げていきます。

OmochiXが注目するポイント

今回のJevで特に興味深いのは、 AI開発の競争軸が 「一番賢いチャットAIは何か」だけではなくなってきた ことです。

OmochiX VIEW
生成するAI
判断するAI
監視するAI
検証するAI
実行するAI

これから重要になるのは、 「どのAIが一番強いか」だけではなく、 それぞれのAIをどう組み合わせて仕事全体を自動化するかです。

AIモデル1つにすべてをやらせるのではなく、 用途ごとにAIを使い分ける。

その方が、 速度・コスト・安全性のバランスを取りやすくなる可能性があります。

Jevがその代表的な存在になるのかは、 まだ分かりません。

現時点ではEarly Accessであり、 性能比較もTypeSafe自身による評価が中心です。

それでも、 「AIは会話するもの」という前提そのものを変えようとしている 点は注目に値します。

SUMMARY

まとめ

TypeSafe AIが公開したJevは、 チャットではなくソフトウェア内部の意思決定に特化した新しいAIモデルです。

自由な文章生成ではなく、 型付きの判断結果と確率を返すことで、 高速・低コストなAI自動化を目指しています。

このアプローチが実用レベルで広がれば、 AIは「人が質問すると答えるツール」から、 企業システムの裏側で常時動き続ける判断インフラ へ変わっていく可能性があります。

AIが仕事を支援する段階から、
AIがソフトウェアそのものを動かす段階へ。

NEXT
Jevを「知る」から「使う」へ

Choice・Score・Noul、API、TypeScript、 CRMへの組み込み方まで実例で解説しています。

Jevの使い方を学ぶ →
参考: TypeSafe AI公式ブログ / TypeSafe AI公式サイト / TypeSafe Workflow Evals / DCVC発表資料

NEXT STEP

次に知りたいAI情報へ。

自分に合うAIツールを探す 最新のAIニュースをもっと見る

OmochiXをフォロー

最新のAIニュースや活用情報をSNSでも配信しています。